「いいですか。すべては神のお導きです。それを頭においておいて下さい。貴方がたの祈りが神の御意志を動かされることを私も祈っています。

さあ！　祈りを捧げて下さい。

これから蘇生の儀式を始めます」

「おお、神よ！

我が主よ！

大地の精霊たちよ！

彷徨えるヨシュアの御霊を、

今、ここに呼び戻したまえっ！ 」

「・・・」

　ヨシュアの亡き骸はピクリとも動・・・・・・

「ねえ、今指が、指が動かなかった？」

　フレイアは叫ぶように言った。

「さあ、わしにはわからんかった・・・」

「ヨシュアちゃん！　帰ってきて！　お願い」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・永遠にも感じられる数瞬が過ぎた・・・・・にもかかわらず、ヨシュアの亡き骸には何の変化も起こらない。

　−駄目だ！　ヨシュアは蘇らない！−

　そこにいる誰もがそう思った。

　たった独り。彼女を除いては・・・

　その彼女はひたすらに祈っていた。奇蹟を、偉大なる神を信じて・・・」

　

　

　

　誰かが私の肩を叩いた。私はそれでも祈っていた。

　ユ−ロパ様がかすれた声で私を呼んだ。けれど、私はその声に答えることはできなかった。顔を上げて前を向くと、今までの希望がすべて壊れる・・・私には、ただ祈ることしかできなかった。

　そう。ただ祈ることしか・・・

「フレイア」

　その声に私ははじけるようにように顔を上げた。

　そこには・・・

　私は涙を目一杯流しながら、その声の主の胸に飛び込んだ。

「フレイア、あの時の、あの時の約束を覚えているかい？」

「ええ、も、もち、ろんよ・・・」

「じゃあ、もう一度返事を聞かせてくれるかな？」

「ええ」

　

　

『リンゴ−ン、リンゴ−ン、リンゴ−ン、リンゴ−ン』

その日、蘇生の儀式のあったその教会で、祝福の鐘が鳴り響いた。

　

　

ＦＩＮ